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「世界のどこかで」

一話「乱入」

ヨモス暦3898年 陽の月 37日 静の曜日

 誰かの簡易説明
この世界は一般的に「魔法」という概念が存在する。
まあ、呪文を唱えると空を飛べたり、炎が出せたりするアレである。
でも、世の中色々似たもので政治とか大人の都合で戦争があったりするあたり・・・
こっちの世界と変わらないらしい。
はあ、人間って大変だね。
で、舞台はそのヨモス暦という時代読みが通用する地方。
大きさとしてはヨーロッパと考えてもらえばいいかな。
で、さらにその中の小国のお姫様のお話だったりする。

「あぁぁぁぁ〜〜〜〜!!」
王城の一室から可愛らしい叫び声が聞こえる。
そう、私は頭にきている。
目の前にはいい年の髭を生やしたオッサン達。
まったく、会議の卓上を囲めば泣き言ばかり。
しかし、原因ははっきりしているのだ、原因は我が国の状態にある。
三ヶ月前に隣国が共謀して我が国の領土を奪いに来た。
突然と言っていいほどの侵略に、我が軍は陣の構築もままならないまま敗走を繰り返した。
そして、父上に母上は前線にでて指揮をとっていたのだが一ヶ月前のユウリヒの決戦で大敗、行方不明である。
多分、多分であるが父上に母上は死んでいない。
まだどちらの国も父上や母上の首を上げていないのだ。
だからこそ、今の今まで苦しい状態で国を守ってきたのだ。
父上や母上が敗れたことがあり、国の状態や兵の状態は最悪だった。

普通はここで国としての機能が麻痺して敵の降伏勧告を呑むしかなかったのだが。
ここに類いまれな、才覚を持つ跡取りがいた。
名を「ケイト・デリーリッヒ・K・ユイード」
まだ、齢13を数えたばかりの姫君である。
彼女は崩れつつある家臣、将軍を一括の元まとめあげ軍の再編に成功。
敵を重要拠点に落とされること何とか回避したのだが・・・
時代が悪かったのかも知れない、まだ彼女が若すぎるのと国力の圧倒的差に兵力。
あともう5年違えば結果は違ったのかも知れない、だが現実は残酷だ。
先ほど、遂に5つ在る重要拠点のうち3つが落とされたと報告が来た。
それの対策会議のため将軍や家臣を集めたのだが・・・

「姫様、もう我が国は駄目でございます。」
「もう投降をして身の安全を。」
「私はまだ死にたくない死にたくない。」
素晴らしいの一言の精神状態。
もう、なぜ私に集まるのはこんなひ弱どもなんだろう。
しかし、家臣たちのそう言う泣き言も分からないでもない。
どうやっても後は国が滅びるまでの時間稼ぎにしかならないのだ。
ならば、ここで降伏をとり、なるべく自身に降りかかる火の粉を減らさなくてはいけない。
だけど、私はこの国を最後まで守らなくてはいけない、なぜなら
「分かったわ。」
ピーピー泣いている家臣たちにそれだけ言うと私は部屋を出ようとする。
すると後ろから家臣たちの声が聞こえる。
「どうされる、おつもりか。」
「巻き添えはごめんですぞ!!」
まあ色々言いたいほうだいだ。
だから簡潔に
「今から全兵力で出陣、この戦いを終わりにします。」
後ろから非難の声が上がる「私達を殺す気か」と
「私一人ででます。 デュッセル至急兵をまとめなさい。」
私は控えている家老にそう伝え
「この戦いで私が敗れれば、あとは好きにしなさい。」
と、言って会議場所を出た。

そう、彼女にはもう散るしか残されていないのだ。
ならば華々しく・・・誇りを持ち祖国の為に。
普通なら、ここで彼女は死に新しい国の歴史が始まるのだが。
ここにこの100万分の1の勝利を掴むための要因が到着することになる。


いきなり舞台は変わるが、ここはどこかで見たことのあるどこにでもある風景。
ある程度のマンションが立ち並び、ある所には一軒家が佇み、道路には車が行きかう。
そして生活に必要な物を売っている店の集まりや道楽だけが目的の場所。
まあつまり言えば現代である。
そして、そこで生まれ育ち、平凡な家庭で平凡に暮らしている青年がいた。
見た目、やる気なしの現代っ子。
まあ、それでも家族思いの青年で頼まれた買い物をしているらしい。

「えーと、コイツも買ったしあとは・・・」
頭の中で頼まれたものを思い出そうとすると、近くのおばちゃんが声をかけてくる。
「あら、和真君じゃない。 今日はいい魚入ってるわよ。」
よく買い物にいく魚屋のおばちゃんだ
「そうなんですか?」
つい、声をかけられて店を覗く
「このキス結構いいところのよ、和真君ならいい天ぷらにできない?」
おばちゃんは一つのざるを差し出し、新鮮なキスを見せた。
ふむ、これは天ぷらでいけばかなりおいしそうだ。
などと考える俺 白木 和真 22歳 大学生 趣味家事 の運命の日だったりする。
いま考えるとその日は別にいつもと同じだった。
いや、同じという表現はおかしいかもしれないが、俺にとっては代わり映えのしない日常。
いつもの通りで、買い物をして家に帰って料理をして食べる。
そのつもりだったのだ、だがキスの入った袋を受け取ったときそれが起こってしまった。
原因は今のところ不明、もうわけわかんねえ。
あえて言うなら、神様いたらぶっ飛ばす。
普通に財布を出してお金を渡して、気のいいおばちゃんにまけてもらって、買った物をもらうだけ。
なのに袋をつかむといきなり手から光がでてきてさあ大変。
「うぉい、なんだコレ!?」
ついでに、足場の喪失。
いきなり、こうジェットコースターの最初のくだりを落ちた感覚が蘇る。
状況を確認しようにも、何故か自分の体と服、そして手に持っている荷物以外は真っ白。
OKつまりこれはどうしようも無いと。
そう悟った和真だった。

時に西暦2006年4月1日 15:34分の出来事であった。

そして舞台は再び小さな今にも滅びそうな国に戻る。

「ええい!! なにが今にも滅びそうな国ですって!!」
「? どうされました? 姫様?」
私がいきなり怒鳴ったのでデュッセルが駆け寄ってきた。
「いや、いいのムカつく解説が・・・いえ気にしないで。 で状況は?」
私ま目の前に並ぶ兵を見つめ聞く。
だが、デュッセルは歯切れ悪く。
「・・・只今集結した戦力はおよそ3000人。 残りは・・・その・・・」
「分かったわ、残りはもう家臣の私兵なんでしょう。」
なるほど、もう私と同じ思いの人物はこれだけなのか。
軽く目に涙がたまっている事に気がつく、これは死への恐怖なのか祖国を守れない自分の不甲斐なさなのか、
それともこの状況に悲しくなったのか。
私の心内を察したのかデュッセルが
「姫、ここはこの老人が囮に・・・」
「いえ・・・アナタの気持ちは嬉しいけど。   出るぞ!!」
私の死へ行軍が始まった。

行軍開始から1時間、迎撃地点ソドノ平原に到着陣を張る
これから3時間後には最後の戦いが始まるだろう。
周りを見ればこれからどういう状況になるのかは分かる。
士気がまったく上がっていない、やる気の無い軍はすぐに瓦解、敗走、そして私は・・・
結果を思いうかべながら曇っている空を見上げた。
と、なにか一点が、白く光っている?
「なにあれ?」
よく見つめるとその光が広がり、目を開けていられなくなる。
そして目を手で隠してるとイキナリ体が重くなり地面に倒れる。
「ぐえっ。」
私の声とも思えないつぶれた声がした。
すると事もあろうに私の上から・・・

「どこよ? ここ?」
と間の抜けた平民の声がした。


視点を変えて現代から来た青年へ

「どこよ? ここ?」
白い空間を自由落下したと思ったら、いきなり変な所にでた。
あたりを見回すと変な連中が周りを囲んでいる。
なんだ映画の撮影か?
鎧など変なテント張って、物々しい雰囲気だな。
「まったく、いったい何が起こったんだ?」
体を起こし、土を払う。
すると、一人のスーツらしきものを着た爺さんがイキナリ
「姫に何たる無礼をぉぉぉぉーーー!!」
剣振りかざして襲ってきた。
役10mの距離を一気に縮めてきやがった、ヤベー達人って奴ですか!?
爺さんの腕が振るわれる。
しかし、なんで両手剣をあんなに速く振れるんだ!?
大体3・4キログラムはあるだろーに!?
で、普通なら、そこで叩き斬られたのだろうが。

ここである程度の説明を入れよう
剣と呼ばれる物の殆どはその剣自体の重さで、叩きのめすといったのが主である。
その中で唯一、斬るという動作を可能にしたのが「刀」である。
剣術というのは刀が出来てから発展するものである。
昔の剣では、動作が限られているのだ。
使い手が達人であればあるほど、それを確実に行う。
「叩きのめす」これを確実に行うのならば、振り下ろすか薙いだ方がいい。
敵を振りの威力が最大限に発揮される位置に置いて、剣を振りぬくそれが必勝。

ここに来てデュッセル老はこの愚かな平民を殺れることを確信していた。
老いぼれであろうが、駆け抜けた経験、それで培われた肉体、そしていまだ衰えぬ魔力。
その全てが、この平民の青年を殺せぬ筈がないと言っていた。

そしてそれを、見つめる姫も兵も同じであった。
デュッセル老は昔、白銀と異名をとった騎士であり、魔法使いでもある。
姫は頭に和真の買ったキスを乗せたまま状況を見守っていた。
そしてそれは起こった。
距離を縮め、剣を振りぬこうとした時。

「ぬっ!?」
どうした事か、剣が振りぬけない。
なぜかと思い右に思い切り寄せたはずの腕を見ると。
平民の手が寄せられていた。
「くっ!?」
伸びきった腕に力が入らない。
完全に止められただと!?
目の前の平民が残った片手で額を拭いながら喋り始めた。

うわー、危機一髪。
なんだよこの爺さん、イキナリ斬りかかってきやがって。
まったくたちの悪い、ちょいと説明でもしてもらおうか。
「えーと、爺さん。 いきなり襲い掛かってきた件は一旦置いておいてやる。」
爺の目つきが怒りに変わっている、よくわからん、俺が何したよ?
そして嫌々しげに口を開く
「どうやって止めた? 新手の魔法か?」
・・・おい、この爺ボケてるのか、今魔法とか言いやがったよ。
なるほど、だからいきなり襲ってきたのか。
「答えろ。」
重々しい重低音でいうものだからつい解説を入れてしまった。
「あれだな、剣の弱点ってやつだ、というか武器を使う奴の弱点だな。
武器ってのは主に威力が最大になる場所がある。 なら逆を突けば簡単にとめられるってことだ。」
爺が俺が抑えている、手を見て言う。
「なるほど、これが剣の弱点か・・・。 フンッ!!」
「うぉっと。」
なんて爺だボケてるだけある、蹴りまで入れてきやがった。
とっさに飛び引いて、間合いを開ける。
すると、爺さんはこっちの様子を見てから口を開く
「その動き、リーグル国の間者か。」
「はあ?」
意味が分からん、まったく分からん、だれか解説を!! 解説を!!
爺が剣を降ろして、戦いをやめるつもりかと思ったのになんか殺気が消えていない、どういうこと?
なんかブツブツいってるし、なんかヤバイ人にからまれたかなーと思っていると。
「少し惜しい気もするが、ここで確実に殺そう。」
おいおい、なんかやばいぞ、空中になんか浮かんでるよ。
魔法? マホウ? まほう?
「この老いぼれを本気にさせたことを後悔するがいい!! 氷塊棘散弾!!」
「せめて英語で言えよ!! フリーズランスとかさ!! 日本語分かりづらい!!」
などと叫びつつコレはかわせないなーと思って上着に手をかけた

「うわっ魚くさい!! 何よこの魚!!」
ようやく頭の魚に気がついたのかケイト姫は頭のキスを払いのける。
目の前での出来事も、もはや終わり、偶然とはいえデュッセルを止めた平民は彼を本気にさせた。
いくつ物氷塊を棘にして同時に放ち回避不能とするデッユセルの文字通り必殺技。
万が一、氷塊をかわせても同時に走り寄る彼に斬られて終わりだろう。
見たことも無い服に身を包む平民を少し、少しだけだが興味を惹かれ最後を見届けることにした。
だが、これも私の予想を超えていた。
いま思えば彼がこの時本気で無かったことが本当に幸いだった。
まず、私がかわしきれないと思った氷塊棘散弾を自分の上着を脱ぎ、上に跳ね上げるように弾いた。
この後彼に聞いた話だが同時に撃ったのが失敗だったらしい、人を刺し殺す程の速度であれば容易に方向の変更が可能らしい。
まあ、銃弾とか無理だけど。 と分からないことを言っていたが。
この行動がデュッセルの動きを鈍らせた、今まで弾くといった行為は無駄だったのだ、成功のためしが無い。
相手がたとえ魔法使いであってもだ、相殺か全面に盾を展開するかがこの攻撃に対する防衛だったのだ。
そう防衛ではなく、弾き、攻撃に転ずる行為をしたのだ。
魔法使いでも騎士でもない平民が。

「・・・何・・?」
私は目を疑っていた、眼前に広がる光景が本物かと。
ただの平民が、私の必殺を退けると・・・。
そう、これが敗因だった、一瞬とはいえ、硬直してしまった。
彼相手に、それがどれほどの隙だったか。
気がついたときには、私は剣を素手で払い落とされていた。
「ぐっ!!」
そして腹部に一撃をもらい、膝をついた。
そして空中に払われた剣が彼の手に渡り、首に突きつけられた。
負けた・・・、完全に負けた。
彼の顔を見るまでもなく私はつぶやいた。
「殺せ、この老いぼれを止めるとは中々の平民よ。」

私も固まっていた、デュッセルが平民一人に負けるなどと思っていなかったから。
だけど、彼の首に剣を突きつけたことで我に返った。
「やめなさ・・・」
と叫ぼうとしたのだが。

俺はその剣を下に放り捨て、叫んだ。
「だぁーかぁーらぁー、ここは何処だって聞いてんだーーーーーー!!」


補足
白木 和真 22歳
結構武術とか出来たり出来なかったり。

「なによ、その補足。」
「まったく、でたらめですな。」
「うるせえよ。」


「世界のどこかで」 第一話「乱入」 終わり